ついこの間まで退勤後に会社を出ると外は真っ暗でしたが、日の入りが少しずつ遅くなってきたように感じます。外を歩くと目がゴロゴロ、鼻がムズムズするので春はもうそこまでやってきていますね。今年は花粉の飛散量が過去10年の中で最多なんていう話も聞くので対策が必要です。
【1】【CSC検証レポート】某有害物質除去工事後:エアシャワーの危険性
某有害物質除去工事は一般環境へ有害物質を排出しないよう密閉された環境で行われます。 その工事後の退出時に有害物質が「作業者等から除去されていない・飛散・再付着(再浮遊)する」ことがあれば作業員はもちろん、一般環境へ有害物質が持ち出され身近な人たちの健康にも大きく影響します。
某有害物質除去工事後の退出方法はルールが定められていますが国により様々です。 そこで実験①では日本の「吹き払う退出方法(エアシャワー)」とドイツの「水で洗い流す退出方法(シャワー)」による某有害物質の除去率を比較してみました。 日本の退出方法(手順)は次の通りです。「1.前室で専用ウエアを脱ぐ。※専用マスクは装着したまま2.洗浄室でエアシャワーを浴びる。3.更衣室でマスクを外し一般環境へ。」 この「手順2.」の部分について、ドイツでは水で洗い流す方法(シャワー)が用いられています。
また、日本のエアシャワーを浴びる際には扉が無かったり、パーテションで仕切られていることがあります。 パーテションで仕切っても完全な密閉空間ではありません。
隣の部屋(更衣室)へ某有害物質が「飛散・流れ込む」ことがあれば、作業者等へ再付着し一般環境へ持ち出してしまう事になりますが、 日本の「吹き払う退出方法(エアシャワー)」は「飛散・流れ込む」ことがないのか疑問に思い、実験②では扉無しエアシャワーの飛散率を調べました。
実験③ではクリーン服と・不織布ウエア(JIS T 8115 認証品)の性能比較を行い計3つの実験を紹介いたします。
実験目的
実験1:日本・ドイツの退出方法の違いによる某有害物質除去率比較
実験2:日本の退出方法は周りへ悪影響をどれだけ及ぼすのか
実験3:クリーンウエア・不織布ウエアの再浮遊率比較
使用機器
- 粗大粒子カウンター RACCAR(ウエハ)
- パーティクルカウンター KC-20A
- ダストファインダー L3SQ
- クリーンルーム用ワイパー N2325
- クリーンウエア(CJ1032)
- 不織布ウエア(JIS T 8115 認証品)
- 竹炭(仮想有害物質)
| ダストファインダーL3SQとは | |
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| 粗大粒子カウンター RACCARとは | |
![]() | 粗大粒子カウンターはサンプル板として4インチシリコンウエハを使用し、サンプル板上の粗大粒子の分級とカウントを行う装置 商品詳細ページはこちら→ 粗大粒子カウンター RACCAR 測定方法はYouTubeをチェック!→シーズシーチャンネル |
| パーティクルカウンターとは | |
![]() | 空気中や液体中に浮遊する微粒子(ほこりや不純物)の数を計測する装置 今回使用したパーティクルカウンターは微粒子測定用 定格流量は28.3L/min・粒径区分下記参照 (0.3μm以上、0.5μm以上、1.0μm以上、2.0μm以上、5.0μm以上、10.0μm以上) 商品詳細ページはこちら→ パーティクルカウンター |
化学防護服のJIS規格とは
化学防護服にはJIS(日本産業規格)規格があります。 JIS T8115:2015化学防護服に関する規格で、化学防護服の分類、表示及び性能要求事項が定められています。 JIS T8115においては、対象となる危険物質や化学防護服の構造に応じて、タイプが分かれており、 そのタイプ毎に要求性能が規定されています。
化学物質を取り扱う事業場ではJIS規格認証品または適合した製品を使用する事が求められています。
JIS T 8115:2015(化学防護服―分類、表示及び性能要求事項)
| タイプ1 | 気密服 | 自給式呼吸器を服内または服外に装着した気密服 |
| タイプ2 | 陽圧服 | 外部から服内部を陽圧に保つ呼吸用空気を取り入れる構造の非気密形全身化学防護服 |
| タイプ3 | 液体防護用密閉服 | 液体化学物質から着用者を防護するため、服の異なる部分間、服と手袋及び服とフットウェア間が対液体密閉接合した構造の全身化学防護服 |
| タイプ4 | スプレー防護用密閉服 | 液体化学物質から着用者を防護するため、服の異なる部分間、服と手袋及び服とフットウェア間が対スプレー密閉接合した構造の全身化学防護服 |
| タイプ5 | 浮遊固体粉じん防護用密閉服 | 浮遊固体粉じんから着用者を防護するため、服の異なる部分間、服と手袋及び服とフットウェア間が対浮遊固体粉じん密閉接合した構造の全身化学防護服 |
| タイプ6 | ミスト防護用密閉服 | ミスト状液体化学物質から着用者を防護するため、服の異なる部分間、服と手袋及び服とフットウェア間が対ミスト密閉接合した構造の全身化学防護服 |
~実験①~
日本・ドイツの退出方法の違いによる某有害物質除去率比較
実験方法
- 竹炭0.1g(仮想有害物質)をクリーンワイパーへ揉みこみ 腕(素肌)へ付着させる
※クリーンルーム用ワイパーで行う…繊維を計測しない為

- シリコンウエハで1の腕部分をスタンプテスト(RACCAR計測)
スタンプテストとは…RCCARで測定する為ウエハを対象物にスタンプするように付け、粒子を採取すること
- 各退出方法をそれぞれ行う
→(エアシャワーを浴びる(15秒)・水で洗い流す(15秒)・自分が流れ落ちたと思うまで水洗い(30秒))
※水の拭き取りはクリーンルーム用ワイパーで行う…繊維を計測しない為
- 3後、腕部分をスタンプテストする→RCCAR計測
実験結果
粗大粒子カウンター RACCAR測定結果 数値
| 30㎛ | 50㎛ | 100㎛ | 150㎛ | 200㎛ | ||
|---|---|---|---|---|---|---|
| エアシャワー | 除去前(個) | 305 | 242 | 38 | 14 | 4 |
| 除去後(個) | 195 | 124 | 17 | 11 | 4 | |
| 除去数(個) | 110 | 118 | 21 | 3 | 0 | |
| 除去率 | 36% | 49% | 55% | 21% | 0% | |
| 水洗い(15秒) | 除去前(個) | 635 | 253 | 33 | 11 | 3 |
| 除去後(個) | 203 | 39 | 3 | 2 | 1 | |
| 除去数(個) | 432 | 214 | 30 | 9 | 2 | |
| 除去率 | 68% | 85% | 91% | 82% | 67% | |
| 水洗い(30秒) | 除去前(個) | 498 | 193 | 20 | 7 | 3 |
| 除去後(個) | 104 | 44 | 0 | 1 | 0 | |
| 除去数(個) | 394 | 149 | 20 | 6 | 3 | |
| 除去率 | 79% | 77% | 100% | 86% | 100% | |
粗大粒子カウンター RACCAR測定結果 画像
(青30μm/緑50μm/赤100μm/ピンク150μm/黄色200μm)以上

ダストファインダー L3SQ 画像

~実験②~
日本の退出方法は周りへ悪影響をどれだけ及ぼすのか
実験方法
- 事前準備
- クリーンルーム内のクラスが100であることを確認(パーティクルカウンターにて測定)
- ウエハをエアシャワーの出口扉から30センチ間隔で5枚配置する
- 不織布ウエア(JIS T 8115 認証品)と竹炭10g(仮想有害物質)を同じ袋に入れてまんべんなく振る

- 扉を開放してエアシャワーを浴びる(15秒)(この時エアシャワーの側でパーティクルカウンターにて測定)


- エアシャワーから退出
実験結果
パティクルセンサー 微粒子測定結果 数値
(個)
| 0.3㎛ | 0.5㎛ | 1.0㎛ | 2.0㎛ | 5.0㎛ | 10.0㎛ | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 累計 | 124557 | 98160 | 67326 | 53408 | 13316 | 3806 |
| 差分 | 26397 | 30834 | 13918 | 40092 | 9510 | 3806 |
粗大粒子カウンター RACCAR測定結果 数値
(個)
| 30cm | 60cm | 90cm | 1m20cm | 1m50cm | |
|---|---|---|---|---|---|
| 30㎛ | 74 | 76 | 89 | 68 | 67 |
| 50㎛ | 58 | 55 | 70 | 35 | 36 |
| 100㎛ | 7 | 9 | 9 | 8 | 6 |
| 150㎛ | 2 | 4 | 1 | 1 | 2 |
| 200㎛ | 1 | 3 | 2 | 0 | 2 |
粗大粒子カウンター RACCAR測定結果 画像
(青30μm/緑50μm/赤100μm/ピンク150μm/黄色200μm)以上

ダストファインダー L3SQ 画像

~実験③~
クリーンウエア・不織布ウエアの再浮遊率比較
実験方法
- 竹炭0.1g(仮想有害物質)をクリーンワイパーへ揉みこみ
腕(クリーンウエア・不織布ウエア(JIS T 8115 認証品))へ付着させる
- シリコンウエハで1の腕部分をスタンプテスト(RACCAR計測)
スタンプテストとは…RCCARで測定する為ウエハを対象物にスタンプするように付け、粒子を採取すること
- エアシャワーを浴びる(15秒)
- 3後、腕部分をスタンプテストする→RCCAR計測
実験結果
粗大粒子カウンター RACCAR測定結果 数値
| 30㎛ | 50㎛ | 100㎛ | 150㎛ | 200㎛ | ||
|---|---|---|---|---|---|---|
| クリーンウエア (CJ1032) | 除去前(個) | 53 | 25 | 2 | 2 | 1 |
| 除去後(個) | 52 | 26 | 2 | 3 | 0 | |
| 除去数(個) | 1 | 9 | 0 | -1 | 1 | |
| 除去率 | 2% | 36% | 0% | -50% | 100% | |
| 不織布ウエア (JIS T 8115 認証品) | 除去前(個) | 215 | 48 | 4 | 8 | 6 |
| 除去後(個) | 108 | 31 | 4 | 1 | 3 | |
| 除去数 (個) | 107 | 17 | 0 | 7 | 3 | |
| 除去率 | 50% | 35% | 0% | 88% | 50% |
粗大粒子カウンター RACCAR測定結果 画像
(青30μm/緑50μm/赤100μm/ピンク150μm/黄色200μm)以上

ダストファインダー L3SQ 画像

考察
実験1の結果よりエアシャワーよりも水洗いを行う退出方法が除塵率が高いことが分かります。また、水洗いは有害物質を落とす意思があれば自ら対象物が付着した部分を入念に洗い、除去時間を延ばすことでより高い除塵率となることが分かりました。
水洗いについて今回の実験では水道で実施しましたが、実際の退出方法はシャワーとなっているので、水道より水量が多く、除去時間も長くなるので、より除塵率がアップすることが予想できます。
実験2では密閉ではない空間(解放された空間)でエアシャワーを浴びる事で多くの有害物質が飛散することが分かりました。粒子径が小さいほど空気の流れに影響されより遠くまで飛散することが実験データより読み取れます。本来のエアシャワーには扉が付いており「 密閉空間 」であることを前提としている為、扉がないエアシャワーの使用はパーテーションで空間を仕切っていても隙間から飛散することが予想されます。また、粒径が小さく目視出来なくても有害物質に変わりはないので、周りへ悪影響を及ぼします。
実験3ではクリーンウエアは不織布ウエア(JIS T 8115 認証品)に比べ竹炭を付着させた際の数がかなり少ないことが分かります。クリーンウエアはクリーンルームで着用することを前提としているため、ゴミが付着しずらいという理にかなった結果となりました。
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