けたたましい蝉の鳴き声が窓を閉めていても聞こえてきます。立秋を迎え暦の上では秋が始まる時期とはいえ、猛暑真っただ中で食欲が落ちる頃でもあります。今週末からお盆休みという方もゆっくり夏の疲れを癒してくださいね。
さて今回は、クリーンルーム内でできる省エネ対策としてクリーンルームウエアの検証です。是非ご覧ください。
【夏季休業のお知らせ】
誠に勝手ながら、弊社では下記の期間を夏季休業とさせて頂きます。
お客様にはご不便をお掛け致しますが、何卒よろしくお願い致します。
休業期間:2022年8月11日(木)~2022年8月16日(火)
【1】【CSC実験レポート】「クリーンウエアで省エネ!?」
近年地球環境保全への取り組み、とりわけ温暖化防止への対策はあらゆる産業において責務となっております。クリーンルームも多くの電力が使用されており例外ではありません。今回はクリーンルーム内で出来る省エネ対策としてクリーンウエアの生地の違いに着目し実験を行いました。
実験目的
クリーンウエアの通気量が多い、少ないの違いで省エネが可能か検証
使用機器
- クリーンウエア
CJタイプ(通気量5cc)/CKタイプ(通気量100cc) - パーティクルカウンター
KC-31(微粒子)/KC-20A(粗大粒子) - 温湿度ロガー ハイグロクロン
- 表面温度計 FLIR E4
- FFU 型式:CS-CUTE-10CF
- CSバルーン
実験条件
温度:25℃/28℃(±0.5℃)
湿度:50%


実験方法
- クリーンルーム内の天井から袋を取り付け(FFU含む)、その中の温度を25℃、 28℃(±0.5℃)かつ
湿度はいずれも50%(±3%)に設定する - CJタイプ(通気量5cc)、CKタイプ(通気量100cc)のクリーンウエアを着用し袋の中でメトロノームを使用し、
それぞれ1分間一定の歩行動作を行う - 歩行動作前、歩行動作中、歩行動作終了から5分間、クリーンウエア内の温湿度、クリーンウエアの表面温度、
発塵状況(微粒子・粗大粒子)を測定する

ハイグロクロン
実験結果
クリーンウエア内部の温度と表面温度については大きな差がでませんでしたが、ウエア内部の湿度については差が出ました。
歩行動作中の発塵に関しては0.3~20ミクロンで差が出ましたが30ミクロン以上ではほとんど差が無い結果となりました。
▼温湿度ロガー ハイグロクロン測定結果
| 25℃ 50% (肩) | ||||
|---|---|---|---|---|
| CJタイプ | CKタイプ | |||
| 温度 (℃) | 湿度 (%RH) | 温度 (℃) | 湿度 (%RH) | |
| 動作前 | 28.5 | 79.0 | 31.0 | 45.3 |
| 動作中 | 28.5 | 81.1 | 31.0 | 47.3 |
| 動作終了 1分後 | 28.5 | 78.4 | 31.0 | 47.9 |
| 動作終了 3分後 | 29.0 | 78.4 | 31.0 | 47.3 |
| 動作終了 5分後 | 29.0 | 84.9 | 31.0 | 47.3 |
| 28℃ 50% (肩) | ||||
|---|---|---|---|---|
| CJタイプ | CKタイプ | |||
| 温度(℃) | 湿度(%RH) | 温度(℃) | 湿度(%RH) | |
| 動作前 | 32.5 | 75.0 | 31.5 | 68.1 |
| 動作中 | 32.5 | 74.0 | 32.0 | 69.9 |
| 動作終了 1分後 | 33.0 | 76.6 | 32.5 | 71.5 |
| 動作終了 3分後 | 33.0 | 81.3 | 32.5 | 72.2 |
| 動作終了 5分後 | 33.5 | 86.5 | 33.0 | 78.8 |
| 25℃ 50% (背中) | ||||
|---|---|---|---|---|
| CJタイプ | CKタイプ | |||
| 温度 (℃) | 湿度 (%RH) | 温度 (℃) | 湿度 (%RH) | |
| 動作前 | 27.5 | 71.7 | 28.5 | 51.5 |
| 動作中 | 27.5 | 70.0 | 28.5 | 50.8 |
| 動作終了 1分後 | 27.5 | 69.0 | 29.0 | 50.9 |
| 動作終了 3分後 | 28.0 | 77.7 | 29.0 | 51.5 |
| 動作終了 5分後 | 28.5 | 78.0 | 29.0 | 52.8 |
| 28℃ 50% (背中) | ||||
|---|---|---|---|---|
| CJタイプ | CKタイプ | |||
| 温度(℃) | 湿度(%RH) | 温度(℃) | 湿度(%RH) | |
| 動作前 | 31.0 | 72.9 | 31.0 | 66.5 |
| 動作中 | 31.5 | 71.0 | 31.0 | 69.3 |
| 動作終了 1分後 | 31.5 | 67.8 | 31.5 | 68.8 |
| 動作終了 3分後 | 31.5 | 77.9 | 31.5 | 68.3 |
| 動作終了 5分後 | 32.0 | 77.8 | 31.5 | 74.0 |
| 25℃ 50% (脚) | ||||
|---|---|---|---|---|
| CJタイプ | CKタイプ | |||
| 温度 (℃) | 湿度 (%RH) | 温度 (℃) | 湿度 (%RH) | |
| 動作前 | 26.0 | 59.1 | 29.0 | 49.6 |
| 動作中 | 26.5 | 58.0 | 28.5 | 51.4 |
| 動作終了 1分後 | 27.0 | 56.8 | 28.5 | 53.3 |
| 動作終了 3分後 | 27.0 | 59.2 | 28.5 | 53.3 |
| 動作終了 5分後 | 27.0 | 56.8 | 28.5 | 53.9 |
| 28℃ 50% (脚) | ||||
|---|---|---|---|---|
| CJタイプ | CKタイプ | |||
| 温度(℃) | 湿度(%RH) | 温度(℃) | 湿度(%RH) | |
| 動作前 | 29.5 | 60.1 | 29.5 | 58.3 |
| 動作中 | 29.5 | 59.5 | 29.5 | 59.5 |
| 動作終了 1分後 | 30.0 | 57.8 | 30.0 | 60.1 |
| 動作終了 3分後 | 30.5 | 58.4 | 30.0 | 62.5 |
| 動作終了 5分後 | 30.5 | 58.4 | 30.5 | 62.1 |
▼表面温度測定結果
25℃ 50%
| CJタイプ | |||
|---|---|---|---|
| 肩 | 背中 | 脚 | |
| 実験前 | 30.3 | 29.7 | 29.2 |
| 実験直後 | 31.4 | 29.4 | 29.3 |
| 実験3分後 | 31.5 | 30.0 | 29.9 |
| 実験5分後 | 31.5 | 30.3 | 29.8 |
| CKタイプ | |||
|---|---|---|---|
| 肩 | 背中 | 脚 | |
| 実験前 | 29.8 | 29.4 | 30.4 |
| 実験直後 | 31.6 | 30.5 | 30.5 |
| 実験3分後 | 31.5 | 30.1 | 30.2 |
| 実験5分後 | 31.2 | 30.0 | 29.7 |
28℃ 50%
| CJタイプ | |||
|---|---|---|---|
| 肩 | 背中 | 脚 | |
| 実験前 | 34.6 | 33.9 | 32.9 |
| 実験直後 | 33.8 | 33.2 | 32.8 |
| 実験3分後 | 34.0 | 33.1 | 33.2 |
| 実験5分後 | 34.2 | 33.7 | 32.7 |
| CKタイプ | |||
|---|---|---|---|
| 肩 | 背中 | 脚 | |
| 実験前 | 33.7 | 33.0 | 31.9 |
| 実験直後 | 33.0 | 32.3 | 32.0 |
| 実験3分後 | 33.3 | 32.7 | 31.7 |
| 実験5分後 | 33.5 | 32.6 | 31.9 |
▼動作中発塵測定結果
25℃ 50%
| CJタイプ | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 実際の温度 25.3℃ 湿度 48% | |||||
| 粗大粒子 KC-20A | 10㎛以上 | 20㎛以上 | 30㎛以上 | 50㎛以上 | 100㎛以上 |
| 1 | 4 | 1 | 0 | 0 | |
| 微粒子 KC-31 | 0.3㎛以上 | 0.5㎛以上 | 1.0㎛以上 | 2.0㎛以上 | 5.0㎛以上 |
| 365 | 241 | 96 | 46 | 5 | |
| CKタイプ | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 実際の温度 25.2℃ 湿度 47% | |||||
| 粗大粒子 KC-20A | 10㎛以上 | 20㎛以上 | 30㎛以上 | 50㎛以上 | 100㎛以上 |
| 125 | 23 | 5 | 1 | 0 | |
| 微粒子 KC-31 | 0.3㎛以上 | 0.5㎛以上 | 1.0㎛以上 | 2.0㎛以上 | 5.0㎛以上 |
| 2146 | 1616 | 934 | 627 | 141 | |
28℃ 50%
| CJタイプ | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 実際の温度 28.1℃ 湿度 48% | |||||
| 粗大粒子 KC-20A | 10㎛以上 | 20㎛以上 | 30㎛以上 | 50㎛以上 | 100㎛以上 |
| 17 | 4 | 3 | 1 | 0 | |
| 微粒子 KC-31 | 0.3㎛以上 | 0.5㎛以上 | 1.0㎛以上 | 2.0㎛以上 | 5.0㎛以上 |
| 440 | 267 | 132 | 62 | 6 | |
| CKタイプ | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 実際の温度 28.0℃ 湿度 48% | |||||
| 粗大粒子 KC-20A | 10㎛以上 | 20㎛以上 | 30㎛以上 | 50㎛以上 | 100㎛以上 |
| 79 | 13 | 2 | 1 | 1 | |
| 微粒子 KC-31 | 0.3㎛以上 | 0.5㎛以上 | 1.0㎛以上 | 2.0㎛以上 | 5.0㎛以上 |
| 1283 | 938 | 582 | 391 | 119 | |
考察
今回の実験結果より通気性の良いクリーンウエアを着用した方が内部の湿度が低くなることが確認されました。これは通気性の良いウエアを着用することで内部で発生した汗が蒸発し、外に放出したため湿度が低くなったと推測されます。汗は蒸発する際、体から熱を奪い体温を下げる働きをします。そのため湿度が低いと汗をかいた際に蒸発しやすくなり涼しく感じます。
一方で、湿度が高いと汗が蒸発しにくく体温が下がりづらいため暑く感じます。よって同じ温度でも湿度の違いによって感じる暑さが変わってくることがわかります。
発塵に関しては確かに動作と同時に確認され、通気性の良いクリーンウエアの方が多い結果とはなりましたが、30ミクロン以上の粒子はほとんど確認されませんでした。通気性の良いクリーンウエアでも正しく着用すれば30ミクロン以上の塵埃がクリーンウエアの内側から外側に通過してこないことが分かります。
一方で今回の実験結果より想定外だったところは、CKタイプウエア内の温度がCJタイプよりも少し高くなったところです。当初の想定では湿度が下がることにより温度も下がると推測しておりましたが、今回の実験では全く逆の結果となりました。
ただし、被験者としてはウエア内の温度が少々高くても湿度が下がる分、涼しさは感じていました。湿度に関してもかなりバラつきが出ているところがあります。着用するウエアのサイズや被験者によっても変わる可能性があり、今後継続して試験を行っていきたいと考えております。
省エネ対策として空調機の設定温度を上げることを考える方が多くいらっしゃいますがただ単に設定温度を上げると室温、体感温度、ウエア内の湿度が上がりクリーンルーム内で作業される方には大きな負担となります。また、暑さ対策として空調機の設定温度を下げることを考える方もいらっしゃいますが、室温が下がってもウエア内の湿度が高い場合、作業者の方は不快に感じます。製品不良となる異物サイズが30ミクロン以上であれば通気性の良いクリーンウエアを着用するだけで作業者の方の負担が軽減され、状況によっては空調設定温度を上げることができ省エネにつながります。
逆に寒い時期には、体温により暖められた空気をウエア内から逃がしにくいCJタイプに衣替えして頂く事をおすすめします。空調設定温度を見直しされる際はまずは自社で使用されているクリーンウエアを見直して頂ければと思います。
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